補給が勝負を決める【第1回】 トライアスロンは「補給のスポーツ」です
2026/07/27
トライアスロンというと、
「スイムが苦手だから…」
「バイクをもっと速く走りたい。」
「ランを最後まで走り切りたい。」
そんな話題が中心になります。
もちろん、それも大切です。
しかし、私が30年トライアスロンを楽しんで、多くのレースへ出場してきて一番感じていることがあります。
トライアスロンは補給で決まる競技です。
どれだけ練習を積んでも、補給を失敗すれば最後は身体が動かなくなってしまいます。
スイムでは補給できません
スイムがスタートすると、水分やエネルギーを補給することは現実的にはほとんどできません。
そのため、スイムを終えた時点では、すでに軽い脱水状態になっていることも少なくありません。
特に真夏のレースでは、スタート前から汗をかいているため、自分で思っている以上に水分を失っています。
トランジションで必ず補給する
私はトランジションエリアに、少し大きめのペットボトルを必ず置いています。
目的は二つです。
一つは身体に水をかけて体温を下げること。
もう一つは、バイクへ乗る前に必ず水分を補給することです。
「まだ大丈夫。」
そう思って補給せずにバイクへ飛び乗ってしまうと危険です。
実際に私も、補給をせずにバイクを走り始めた結果、軽い頭痛と手先のしびれを感じたことがあります。
慌てて補給しましたが、一度進んだ脱水はすぐには回復しませんでした。
だから私は今でも、
『トランジションでの数十秒は、レースを左右する時間』
だと思っています。
私が一番反省しているレース
台湾で開催された大会での出来事です。
バイク中から頭痛が強くなりました。
バイクを終えたあと、膝痛対策として持っていた鎮痛薬を服用すると、一時的に頭痛が和らぎました。
私はそれを、
「回復した。」
と勘違いしてしまい、そのままランを続けました。
しかし、実際には脱水(あるいは熱中症)が改善していたわけではありませんでした。
途中で完全に動けなくなり、救急搬送されるという大失態を経験しました。
大会関係者やボランティアの皆さんには、本当に大きなご迷惑をお掛けしてしまいました。
今でも忘れられないレースです。
痛みがなくなっても安心とは限りません
頭痛や手足のしびれは、脱水や熱中症でもみられることがあります。
また、鎮痛薬によって頭痛が軽くなったとしても、脱水や熱中症そのものが改善したとは限りません。
頭痛、手足のしびれ、めまい、力が入らないなどの症状が出たときは、「もう少し頑張ろう」と無理をせず、補給や身体を冷やすことを優先してください。
場合によっては競技を中止する判断も、自分の身体を守るためには大切です。
補給は練習の一部です
補給はレース当日に考えるものではありません。
何を飲むのか。
何を食べるのか。
どのタイミングで補給するのか。
これもトレーニングの一部です。
速くなるための練習だけでなく、最後まで元気に動き続けるための補給計画も、ぜひ練習の中で試してみてください。
私からひとこと
私は台湾でのレースで、
「ゴールすることより、無事に帰ることの方が大切だ」
ということを身をもって学びました。
トライアスロンは自分の限界へ挑戦する素晴らしいスポーツです。
でも、無理をするスポーツではありません。
皆さんには、私と同じ失敗をしてほしくありません。
最後は笑顔でフィニッシュし、元気に家へ帰ること。
それが一番大切な完走だと、私は今でも思っています。
次回予告
補給が勝負を決める【第2回】
「バイクは食べる区間。ランは維持する区間」
〜なぜ速い選手ほど計画的に補給しているのか〜
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